FC東京「セクシーフットボール」
5日(水)、国立競技場:破竹の勢いで快進撃を続けるニューカマーFC東京の「セクシーフットボール」がジュビロ磐田の「トータルフットボール」を3-2と破った。
FC東京は、セクシーフットボール(オランダのルート・フリットがイングランドで監督として指揮を取っていた時に目指した)によって、昨年J-2から昇格、現在J-1でも首位
に立っている。一方ジュビロは、1970年代当時オランダでリナス・ミヒェルス監督が指揮を取っていたアヤックス等オランダのチームを手本とした磐田独自の「トータルフットボール」で国立に乗り込んだ。
ジュビロ独自の流動性3-5-2システムは、3人のバックが前線に飛び出し、3人の中盤の選手が後方の深い位 置から走りこんで相手を混乱させる。36分、このシステムが機能する。本来右サイドバックである鈴木秀人(ジュビロ)が攻撃参加し、FC東京の小林成光に倒され、小林はイエローカード、ジュビロはFKを得る。藤田俊哉のフリーキックをファーサイドにいた井原正己がヘッドで合わせて先制。これは井原にとってジュビロ移籍後初得点であり、1993年(Jリーグ開幕年)から228試合出場して通
算4 点目である。
1-0とリードしていた前半は、中盤を支配し、フォワードからFC東京ゴールにプレッシャーをかけるジュビロが優勢に見えた。
後半は一変、FC東京が、大胆でエキサイティング、そして強烈な「セクシーフットボール」を見せつける。56分、ペナルティーエリア外で井原が奪われたボールをトゥット(今シーズンのみ川崎フロンターレからレンタル移籍)が冷静に決め、同点とした。
しかし70分、ジュビロはオリンピック代表にも選ばれた西紀寛が右サイドで倒され、再びFKのチャンスを得る。ゴールから30メートルの位 置、ボール傍には右利きの藤田と左利きの服部が立ったが、ボールを蹴ったのは服部。FC東京の壁を巻いた服部のシュートはゴール左隅に吸い込まれた。
ジュビロの歓喜もつかの間、再度トゥットが左足シュートをゴール左隅に突き刺し同点とした時には、ジュビロサポーターはまだ歓喜の余韻に浸っていた時だった。すばらしい試合、相次ぐ同点劇に12,602人のFC東京のサポーターは降りしきる雨をものともしない。
84分、そのプレッシャーがジュビロペナルティーエリア内で奥大介(日本代表)のハンドを誘い、「キング・オブ・トウキョウ」こと点取り屋アマラオ(33歳、ブラジル出身)がPKを決めて、この試合はじめてのリードを奪う。
結局最終スコアは3-2となり、FC東京がジュビロを抜き去り5試合を消化した時点で勝ち点11、再び首位 の座に返り咲いた。 その他の試合では、清水エスパルスが戸田和幸の決勝点で鹿島アントラーズを2-1と下し、勝ち点を11としている。
柏レイソルはサンフレッチェ広島をアウェイで2-1と破り勝ち点10で3位、ジュビロと横浜・F・マリノスがともに勝ち点9でそれぞれ4位 、5位につけている。
FC東京の常務取締役:村林裕氏は好調を維持するFC東京の強さの秘密について「ビッグネームの選手はいないが、強い団結力がある。毎試合後すぐに戻って作戦を練り、次の一戦に備える。我々はシーズン前から目標を単一化することで、1試合毎に吸収し、改善してきた。」
村林氏は3人のブラジル人プレーヤー:フォワードのトゥット、アマラオ、センターバックのサンドロらのチームに対する姿勢についても評価している。
「新シーズンに向けて1月20日から練習を始めたが、3人はその頃からちゃんと一緒に参加していた。3月頃からやっと外国人プレーヤーが合流してくるようなチームでは、普通
こんなことあり得ないだろうがね。だからこそ我々には強い団結力がある。」
アウェイで横浜・F・マリノス、地元で名古屋グランパスを破り、そして今回ディフェンディングチャンピオンであるジュビロも破ったことで、FC東京はファーストステージの優勝を意識し始めている。
大熊清監督は「これから?相変わらず、優勝までの道のりは遠いね。次の試合が肝心だ。」と語った。
「セクシーフットボール」よ永遠なれ!
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