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セレッソ優勝に王手

By ジェレミー・ウォーカー

東京(2000年5月21日)
 新世紀の初代ファーストステージ王者にセレッソ大阪が輝くまで、残りはわずか90分。
 満員に膨れ上がった三ツ沢で土曜の夜に行われた、横浜F・マリノス対セレッソ大阪の大一番。白熱の激戦を3―2で制したセレッソは、5月27日土曜日にホームの長居スタジアムで行われる川崎フロンターレ戦に勝利すれば、ファーストステージ優勝となる。
 セレッソと昨シーズンのJ2覇者・フロンターレの最終戦は、紙上ではセレッソ有利との見方が強い。それもそのはず、両チームの順位 差は14で、勝ち点差に至っては、実に21も開いているのだ。
 だが名誉にかけて言うが、サポーターを前にして緊張必至の状況下、セレッソが優勝を果 たすためには、強靭な神経が必要となるであろう。

 ここで、欧州の主要リーグでつい最近起こった出来事を見てみることにしよう。
 イタリアでは、リーグ最終戦で強豪ユベントスが、弱小ペルージャを相手にアウェーで0―1とまさかの敗戦を喫し、スクデットをラツィオにさらわれた。 またドイツでは、引き分けでも優勝が決まったレバークーゼンがアウェーのウンターハヒング戦を0―2で落とし、最後の最後でバイエルン・ミュンヘンが逆転優勝を飾っている。
 今年度初めに、バイエルンとセレッソは3年間の提携を結んでいる。これによりセレッソは、世界でも指折りの有名クラブ、かつ成功を収めているクラブであるバイエルンの、経営術や日常業務を学ぶことが可能になった。
 まるでバイエルンのマジックがセレッソに降りかかり、ステージ優勝という絶好の機会を得たかのよう。しかし、マジックは何もセレッソだけでなく、上位 進出を果たせずにいる関西サッカー界全域にもかかっているのである。 マリノス戦を観戦しようと大阪から横浜まで詰めかけたセレッソサポーターたちは、どしゃ降りの雨や荒々しいマリノスサポーターにも負けることなく、愛するクラブに思いの丈を発した。
 横浜駅から三ツ沢球技場に向かうバス停では、Jリーグの面白さを再認識し、大一番を見逃すまいとする、何百人もの「サッカーを愛する人々」の列ができた。

 そしてゲームは、実に素晴らしいものとなる。
 セレッソは12分に豪快かつ大胆なプレーを見せる左MF西谷正也、49分に FW西澤明訓がゴールを決め、2度のリードを奪うが、マリノスの反撃に遭う。
 26分にW杯代表DF小村徳男のヘディングシュートで追い付けば、試合終了10分前にはFW外池大亮が2−2の振り出しに戻す同点弾をぶち込んだ。
 激しい試合展開、そして刻々と進む時計の針。延長にもつれ込むかと思われた88分過ぎ、セレッソの尹晶煥がコーナーキックの準備にかかる。
 尹のコーナーキックを、同じ韓国人の盧廷潤がゴール方向へ何とか反らすと、雨で滑りやすくなっていたボールを日本代表GK川口能活がキャッチし損ねてしまう。
 息を飲む観衆。ゴール正面へと転がるボール。フリーで待ち受けていたDF 斉藤大輔が、無人のゴールに「ごっつぁんゴール」を蹴り込んだ。決着をつけた彼の元に、チームメートが押し寄せた。
 そのゴール裏で狂喜乱舞するセレッソサポーター。もう一方のゴール裏で静まり返る、マリノスサポーター。
 この上なく大きな1勝を手にしたセレッソは、1試合を残した時点でマリノスに勝ち点2差(それぞれ勝ち点29と27)をつけ、首位 に立った。
 90分以内に勝利し、勝ち点3を獲得すれば優勝決定の可能性もあったマリノス。しかし手痛い1敗を喫した今、国立競技場でのジェフ市原との最終戦をきっちり物にし、フロンターレが長居スタジアムで小さな奇跡を起こしてくれることを願うばかりとなった。

 ヘッドコーチから今季昇格したばかりの副島博志監督は、安堵と喜びの表情を見せたが、地に足を着けようと努める。
「きわめて価値のある1勝だが、大切なのは次のゲーム。まだ1試合残っている。残り4試合となった時点で、焦ることなく、一つずつドアを開けていこう」と告げた。その要求に、選手たちは見事なまでに応えてくれている。
「今夜は持ち得る力を出し切ることができた。横浜はゲームを支配する力を持っているが、このゲームではそうはさせなかった。うちが組織立ったプレーを展開し、チームとしてのバランスを崩すことがなかったからだ。チャンスはいくつも作っていたので、得点はいつでも挙げられると感じていた」
 一方、敗北にも落ち着き払っていたオジー・アルディレス監督だが、敵対心も覗かせた。「優勝へと近付く勝利を挙げたセレッソには、おめでとうと言いたい。だが、まだ1試合残っており、我々に可能性がなくなったわけではない。」
「うちがセレッソより優れたチームなどと思ってはいなかったが、勝ち点が1多く、ホームということもあり、試合前は当然勝てるものと予想していた。敗戦にはとてもがっかりしている」  マリノス―セレッソ戦は抜きつ抜かれつの好勝負として、人々の記憶にとどまることとなる。

 2位横浜に4ポイント差の3位には、1−2とホームでヴィッセル神戸に敗れ、勝ち点23のFC東京。
 フロンターレをアウェーで4―2と下した柏レイソルが、4位に浮上。勝ち点で東京と並ぶものの、得失点差で1つ下に位 置している。
 1試合消化の少ないディフェンディング・チャンピオンのジュビロ磐田は、勝ち点22の5位 。
アウェーの京都サンガとのゲームを、3―2と延長Vゴールで制している。続く6位 には、同じく試合数が1つ少ない清水エスパルスが勝ち点22 で着ける。Vゴールを含め、2度ゴールネットを揺らした金鉉錫の活躍で、ヴェルディ川崎が3―2でゲームを物にしている。
 ほかのゲームに目をやると、サンフレッチェ広島がオーストラリア人MFコリカのPKによる1点を守り切り、鹿島アントラーズの角をへし折った。
 アビスパ福岡とのアウェーゲームを3―0で制し、勝ち点を19に伸ばしたジェフ市原が、ヴィッセル、サンフレッチェ、アントラーズとともに中位 グループを形成している。
 ユーゴスラビア代表のドラガン・ストイコビッチを出場停止で欠いた名古屋グランパスだが、アウェーでガンバ大阪を延長の末に2―1で下し、1部残留に向け大きなポイントを手にした。
 ファーストステージも終えていない現段階ながら、サンガ(勝ち点7)とフロンターレ(同8)は確実に降格へと近付いている。「安全圏」の14位 には、勝ち点15のアビスパ。