東京(2000年6月2日)
日韓共同開催となる2002年ワールドカップの公式カウントダウンが、2日の午後に東京駅で実施された。
日本サッカー協会の岡野俊一郎会長が覆いをめくり、その姿を現したカウントダウンボード。そこには、共催が初ならば、アジアでの開催も初めてとなるワールドカップの開幕まで、残り730日との表示が映し出された。
だが32チームが参加するこの大会、正確な開幕の期日は未だに決まらないまま。
日韓両国の組織委員は、6月1日のソウルでの開幕戦、そして同30日の横浜での決勝戦に向けて作業を行ってはいる。
しかし現代スポーツにおいては、テレビ放映という問題は避けては通
れない。テレビ局側からの度重なる要請により開幕が1日早まり、5月31日にずれる可能性も無きにしもあらず。
6月1日に開幕し30日終了ということになれば、大会全64試合中の48試合を占める1次リーグのほとんどを、1日につき4試合(各国2試合ずつ)のスケジュールで日程を消化する運びとなる。
それが1日早まることでスケジュールは融通性を増し、両国で1日3試合ずつ消化することも可能となる。そうなれば、放映側にとっても利便性が増すこととなろう。FIFAによる最終決定は、6月6日(FIFA臨時理事会)に下されるものと思われる。
話は変わって、雑踏する東京駅丸の内北出口のロビーは、ワールドカップ日本組織委員会の公式カウントダウンボードお目見えとなった除幕式の後、
2002年に向けたボルテージが最高潮に達していた。
日本サッカー協会会長にして、日本組織委員会(JAWOC)副会長も兼任する岡野は、地上最大のサッカーイベントであるワールドカップが日本にやって来るまであと何日か知らせる役割を、電光のカウントダウンボードが果
たすだろうと話す。
「ワールドカップまで2年となったわけだが、国民の関心はそれほど高いとはいえない」と認めた上で、次のように彼は言っている。
「しかし私の経験からすると、これはオリンピックのときと同じ状況だ。このように大きな式典を催した今、関心度は増すと期待している」
今後の見通しに関しては、ここまでの進展具合について「とても満足している」とした上で、「熟考すべき問題点が過去にはいくつかあったが、現在はきわめて順調に万事進んでいる」と加えた。
岡野を始め、JAWOCの那須翔会長、遠藤安彦副会長兼事務総長、女優の三田佳子と黒田福美、五輪代表の点取り屋・平瀬智行(鹿島)が除幕式に参加。
何事かと集まった数百人の通行人が見守る中、6人の関係者はいずれも言葉少な。2002年に代表でプレーしていたいと夢を語る平瀬を見て、興奮を隠し切れない数十人の女子高生たちの喚声やキャーキャーと黄色い声を上げ、写
真を撮ろうとする姿が目に付いた。
「全ての試合を全力でプレーし、ワールドカップのときに代表メンバーに入っていたい」―ハッサン2世国王杯の準備のためモロッコにいる代表メンバーの代理に選ばれた平瀬は、このように話す。
一方、平瀬よりもずっと事務的に話す遠藤に対しては、女子高生がキャーキャー騒ぐ場面
は見られなかった。
遠藤は、日本国内10のスタジアムのうち、6月30日の決勝が行われる横浜国際総合競技場、長居スタジアム、宮城スタジアムの3つが竣工済みで、残り7つの進捗状況は50パーセントほどであるとコメント。2001年6月竣工予定の神戸・御崎公園スタジアム(仮称)をもって、全10会場が完成となる。また、「日本のサッカーファンにとって最大の関心事は、入場券だと思う。この秋にも、入場券配布の抽選形式がはっきりする予定だ。またここ数ヶ月のうちに、ボランティアを募る運動も開始されるだろう。」
「我々の優先する事項は明確である。完全なる安全性と快適性とを併せ持った環境を提供することに焦点を絞り、選手や役員やファン、海外からの何千人もの来訪者がリラックスでき、特別
な魅力と雰囲気を楽しむことのできるワールドカップにしたい」と。
しかし、日韓両国の入場券の枚数には疑問符が生じる。日本が要求する
100万枚という数は、あまりに楽観視し過ぎではないだろうか。
300万枚は出回るだろうという当初の見積もりは、スポンサー、メディア、各国サッカー協会、その他関係者からの要望により、250万枚まで落ち込んだ。
例を挙げると、文章を書く記者陣のためのコンピューターや電話といった作業スペースは2席分で足りるところを、ラジオ放送局用には8席分を必要とする。そこで両国はそれぞれ約125万枚の入手を見込んでおり、さらに国内向けと海外市場向けとで半々の割合にするとのFIFAの主張に基づいて、当初の割り当てのおよそ60万枚が、日本のサッカーファンの手に渡ることになりそうだ。それら入場券に関する委細についてFIFAは、先述した今週の会合(6月6日のFIFA臨時理事会)後に、発表する予定である。
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