日 時 :6月17日(月) 13:00〜15:00
会 場 :神戸ファッションプラザ3F サン広場

1960年から64年にかけて日本代表を指導した、「日本サッカーの父」デットマール・クラマー氏と賀川浩氏の日独の鉄人トークが、2002年6月17日、ワールドカップのブラジル-ベルギー戦が行われる神戸にて開催されました。サッカーへの愛情に満ちた、熱いトークをお届けします。

> ドイツ代表の問題
> 1960年と2002年の日本代表
> メキシコ五輪の大和魂
> クラマー氏のサッカー哲学
> これからの日本サッカーのために
> 両氏のプロフィール

ドイツ代表の問題
 まずドイツチームは、大きな問題を抱えています。ヨーロッパではEUとしての統合が進んだことで、他の国でも働けるようになりました。しかしここで問題が生まれました。プロのサッカー選手というのは職業ですが、サッカーはアートであり、単なる労働ではありません。
 労働者を守る法律ができたことで、ドイツのチームでありながら、ピッチにはドイツ人でない人々がたくさん立っているようになりました。バイエルン・ミュンヘンでも、時としてドイツ人が2人しかピッチにいないことがあります。
 バイエルンには、ドイツでも有数の素晴らしいユース育成のシステムがあります。12歳から2歳ごとのカテゴリーがあり、とても優秀な選手がたくさんいるのに、彼らが18歳になってもトップチームに上がれないというのが実状です。有能な若手選手が十分な経験を積む事ができない。現在のドイツ代表チームの抱える一番大きな問題が、まさにここにあります。経験を重ねたときには、年齢的にピークを過ぎているということが多く見られるのです。
 このような背景もあり、今大会でのドイツ代表チームも決して満足できる出来ではありませんが、「使命感を持って戦う試合に強く、使命が高い時にはさらに力を発揮する」というドイツ人の特性を発揮し、次の試合に勝てば、さらに強力なチームとなることができるでしょう。
賀川:  ビッグネームの選手が現れず、ここ最近"ドイツらしいドイツ"が見られないのには、そういう背景がありますね。しかし今度のチームはなかなかすごいですね。
 クローゼという若手選手、彼はいいですよ。ジャンプ力があり滞空時間も長く、ヘディングもうまく瞬間の反応もいい。良いストライカーが出てきたチームというのは強い。
 ドイツチームはここ数年飽きるほどサイドからの攻撃に徹していますが、これはカウンターを受けない安全策です。ドイツ人は決められたことをきっちりと行い、試合中の修正も早い。しっかりしているなぁと、いつも感心しています。
クラマー:  賀川さんとは40年以上の付き合いになりますが、このように誉めてもらえるとうれしいですね。
 確かに若くて才能ある選手も出てきました。ゲームの結果には満足していますが、カメルーン戦の前半などは、ドイツの歴史・文化を反映したサッカーと言うには程遠い。
 よくできただけで終わらず、さらにレベルアップしようとすること。私はその姿勢が大事だと思うので、厳しいコーチかもしれません。特に若い選手には、ただGOODで満足せず、常にBETTERを目指してほしい。それは私の人生においても大切なモットーです。
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