クラマー: |
今回の日本チームにはとても感心しています。私が指導していた1960年代のチームは非常にスピードを持ったチームでしたが、技術が不十分でした。今回のチームはその速さを継承しつつ、スキルが加わり、とてもいいチームになっています。
(メキシコ五輪で銅メダルを取った)68年のチームは、釜本が病気になって70年のワールドカップの予選で敗退しました。彼はオリンピックで得点王になった、世界でも有数のゴールゲッターでしたので、彼さえ病気になっていなければ、日本は70年のワールドカップに出場できたといまでも信じています。
以来何十年も経ち、今の日本はスピードもスキルも、目覚しい進化を遂げています。ヨーロッパ各国を上回るスピードを持ち、技術も見合うレベルになってきた。本当に感心しています。
(明日対戦する)トルコの選手は、マンチェンスター・ユナイテッドや、リーズなどの欧州屈指のクラブを恐れることなく戦ってきたレベルの高いクラブでプレーしています。しかし日本には勝つチャンスは十分あります。これまで戦った3試合とも、前半はGOODであったけども、VERY
GOODとは言えなかった。しかしどの試合でも後半はVERY GOODな試合ができたのです。トルコ戦では、前後半ともVERY GOODなプレーを見せる必要があるでしょう。
それと、ぜひPKの練習をすべきです。練習をしなかったイングランドは、1990年のイタリア大会で西ドイツにPKで敗れました。ボビー・チャールトンに聞いたところでは、今回の代表チームはイングランドでも毎日PKの練習をしており、日本に来てからも毎日やっているとのことでした。これまで3試合の後半の戦いをし、PKの練習をすれば日本は負けるはずはない。
サッカーにおいても人生においても、小さな積み重ねが完璧をつくるのです。試合にかかわることであれば、小さな努力を日々重ねることが大切です。 |
賀川: |
確かに、PKの練習というのはワールドカップというシステムを勝ちぬいて行くには必要なことですね。
クラマーの指摘通り、日本サッカーの特徴は昔から速さにあります。1936年のベルリン五輪で強豪のスウェーデンに勝った時も、スウェーデンは日本の速さにやられたのです。その速さに見合うスキルを併せ持っていなかった60年代の日本に、十分なスキルをもたらしてくれたのがクラマーです。
今の代表は、速さはもちろん技術も身につけました。そして、選手たちは試合ごとに上手になっている。時に図々しいほどに落ち着き払っており、彼らは1試合1試合確実にうまくなっている。チュニジア戦の後で宮本に「上手くなったし、強くなったね。その秘密は何か」と聞いたら、「これだけの舞台で相手に恵まれ、チームメイトに恵まれたなかで必死にやっているからだろう」と言っていました。まだまだ不満はありますが、それがどんどん減り、GOODではなくBETTERになっている。若い選手が多い伸び盛りのチームというのはとても期待できますよね。 |
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